民子は一町ほど先へ行ってから、気がついて振り返るや否や、あれッと叫んで駆け戻って
       きた。

      「民さんはそんなに戻ってきないッだって僕がいくものを......」

       「まァ政夫さんは何をしていたの。私びっくりして.....まァ綺麗な野菊、政夫さん、私に半
       分おくれッたら、私ほんとうに野菊が好き......」

      「僕はもとから野菊がだい好き。民さんも野菊が好き......」

      「私なんでも野菊の生れ返りよ。野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。どうして
      こんなかと、自分でも思う位」

      「民さんはそんなに野菊が好き......道理でどうやら民さんは野菊のような人だ」
      民子は分けてやった半分の野菊を顔に押しあてて嬉しがった。二人は歩き出す。

       「政夫さん......私野菊の様だってどうしてですか」

      「さァどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」

       「それで政夫さんは野菊が好きだって.......」

      「僕大好きさ」

      民子はこれからはあなたが先になってと云いながら、自らは後になった。今の偶然に起こっ
      た簡単な問答は、お互いの胸に強く有意味に感じた。民子もそう思った事は其素振りで解る。
      ここまで話が迫ると、もう其先を言い出すことは出来ない。話は一寸途切れてしまった。


                          .......
伊藤左千夫著「野菊の墓」
                        
          新潮社版 新潮文庫より   

   

名作の舞台探訪         野 菊 の 墓矢 切
                                          カントリーロード    
                                       
   僕の家というは、松戸から二里許り下って、矢切の渡しを東へ渡り、小高い丘の上でやはり
   矢切村と云ってる所。....
                 

                                                   

            写真の上でクリックすると画像が拡大します        撮影日2008/01/06
矢切の渡しへの道標 クリックで拡大
一面のネギ畑 クリックで拡大
矢切の渡し乗船場 クリックで拡大
江戸川を反対岸へ....
反対側は東京都
野菊の墓文学碑 クリックで拡大

 下矢切から矢切の
 渡しに行く通りに
 たつ道標
 途中、
 辺り一面のネギ畑
) 矢切の渡し乗船場
 
 
  
 江戸川を反対岸へ.....
 千葉県と東京都の境を
 流れる川です
反対側は葛飾区(東京都)
寅さんで有名な柴又、帝釈
天のあるところ
 土屋文明氏の直筆部分
 も彫られた文学碑
   西蓮寺 (下矢切)


  *) 船で河から市川へ出るつもりだから、十七日の朝、小雨の降るのに、一切の持ち物をカバン一個に
     つめ込み民子とお増に送られて矢切の渡しへ降りた。.....
                                             
                               ....... 伊藤左千夫著 「野菊の墓」
                       
            新潮社版 新潮文庫より 

                         


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  http://www.matsudo-kankou.jp

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もう一つの矢切 トピック          矢 切 ね ぎ


上矢切、中矢切、下矢切、栗山、国府台(市川市)界隈はネギ他、野菜生産農家が連なっている地域です。

上に掲載した写真の中でもご覧になれますが、松戸は有数のネギの産地です。なかでも矢切は “
矢切ねぎ ” として
のネームバリューで、東京の料亭などでも使用されていることなどでも有名な松戸の特産品となっています。

そしてこの時期、冬場の十二月、一月、二月に作られる野菜類は霜をかぶり殊のほかやわらかくて美味しいです。

此の時期の“矢切ネギ”はつやがあって白身が長く太さも十分“ヌル”が多く、やわらかく、でも歯ごたえもあり、
すき焼きに良し、 鍋物に良し、味噌汁もとろけそうで最高、もちろん薬味にもと、すばらしい食感があります。


長年筆者はこの時期、矢切地区のネギ(キャベツ、ブロッコリー等)生産農家に訪問して収穫、出荷作業用の
刃物類を御利用いただいております。

               



        
  矢切ネギねぎ場より
                                              

冶具に沿って切りそろえ












    
 今年のネギ作りは去年の夏の日照りで外したという
    方 や、 あまり芳しくなく、80%ぐらいという人もおりま
    したが取材した下矢切りのHさんのところは良い出来
    だとのことで各戸によって様々のようです。


     毎日は出せないけど1日に80箱〜100箱出荷する
    そうです、5kg入りの箱には30本〜45本ぐらいのネ
    ギが入るそうです。

    
早い人で11月中旬頃から4月いっぱい迄ネギの出
    荷作業がつづくそうです、

     今はいいネギで1200〜1300円/(1箱)ぐらいの相場
    だそうです、2000円もでれば最高とのことです。


     矢切のネギ生産農家では一町以上も作る人もいるそ
    うですがHさん宅は7反ほど作っているそうです12月に始
    まって4月いっぱい出荷されるようです


    
Hさんの話では「野菊の墓」に出てくる大イチョウは西蓮
    寺さんの庭にあったということでいまはもう切られてない
    そうです。

     西蓮寺さんの直ぐ下が坂道になっていて筆者が今まで
    何年も矢切を訪問した時に、車で上ったり下ったりした道
    で、お得意様が多く営農されている中心に位置していると
    ころです。


    「野菊の墓」の舞台の真っ只中なのでしょうか、感慨
    深いものがあります。


                     2008年1月上旬

矢切のネギ作りで有名な
Hさんの作業場、
 お父さんの代からですと
Hさんのお宅では当店
ネギ切り包丁、買い替えが
4〜5本ではきかないかも
しれません
お墨付き-切味の爽快さ!
箱詰めにする長さにあわせ
るため、治具の中のネギの
青い部分を切り落とす作業を
しているところです

一呼吸を整えて
此の作業場の前に在る自宅
の中の作業場で葉を切って
いるときはこの治具の幅の
4〜5倍くらいの長さを切り落
としていた光景も 思い出します



          菊光刃物店 ねぎ切り包丁 活躍 しています
    

                写真の上でクリックすると画像が拡大します 

 
道具のすごさを感じます... クリックで拡大
輝く新鮮さ!
良く働きました
菊光特製;ねぎ切り包丁

上矢切のHさんの使用して
いたねぎ切り包丁、年代モ
ンです、口金の金属製から
みると15~6年は経っていま
す。鋼はもう一部ぶ分しか
付いていません。次のネギ切
り 包丁が活躍しています

  
 菊光特製;ねぎ切り包丁

今回お話をうかがったHさん
の作業場周りはいたるところ
ねぎの山、箱詰する前のねぎ
の山に新しく購入していただ
いたネギ切り包丁をのせて
1ショット
菊光特製;ねぎ切り包丁

 此のネギ切り包丁は去年
 の暮れに船橋の農家で新
 しく購入して頂いたときの
 当店包丁、刃先三分の二
 はもう鋼がありませんやは
 り口金が金属からすると10
 年以上は使い込んで いま
 す

                        


                  矢切のネギねぎが購入できます 

                
 JAとうかつ中央経済センターでは年末に、皆様に矢切ねぎを販売しています
                 注文受付:11月中旬〜12月中旬
                 発  送:12月3日ごろ〜12月25日ごろ迄
                     どろネギ葉付き、7キロ箱入り  ¥2,000(税込み)送料別

                    詳細は下記、JAとうかつ中央経済センターへ



インフォメーション

JAとうかつ中央経済センター
  Tel : 047-341-5151

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